2013年8月20日火曜日

高層天気図を見てみます

短期予報を担当していると昼頃に高層天気図が配信されてきます。
担当者は夜勤もありますので、その場その場で資料を見ることが多くなります。
私の場合、資料は使い捨てで1週間分の資料を振り返ることはまずありません。
私は現場で天気図を見てきましたが、理屈は知りません。
理屈を聞いても「原因と結果は逆ではないか?」と思うことが多く、天気予報は理屈ではなく前兆現象を見つけ出し現象を予想すればよいのだと思うことにしました。
空気は理想気体ではないので、独自理論を作るか、頭の中にデータベースをつくるしかないと思います。
これも独自理論ですが、空気は理想気体のように振る舞う場合とそうでは無い場合があるのです。
ここでは、予報担当者(私)が天気図を見てどんなことを思うかを紹介します。
理論は不確かです。

87日から19日の9時観測の高層天気図を見てみます。

300hPa

879時の300hPa実況図です。
地上天気図とは違って300hPaなっている高度線が書いてあります。
着色したところは風が強く吹いているところで、強風軸とか言われています。
理由はないのですがが、私は強風帯と呼んでいます。
一般に強風帯の北側には寒気があり、南には暖気があります。
勿論、寒気と暖気は相対的なものです。

強風帯のイメージは大体こんなイメージです。(正確ではありません。)


西風成分は角運動量保存則から赤道付近で最少となります。(コリオリ力は角運動量保存則から説明されます。)
日本の北側で強風帯がおじぎをしているのはこのためだと思います。
西風成分が最少の所が谷に対応して、その東側で地上低気圧が発達しやすい所になります。


500hPa

500hPaの天気図も高度線が書いてあります。
加えて温度線も加えられています。
太平洋高気圧が中国大陸まで張り出しています。
中国大陸マイナス3℃線で囲まれる高温度域があります。
高温度域の西、高気圧の縁を回ってやや湿った空気が入っています。
私は、この湿った空気が大陸を吹き渡るうちに水蒸気を落とし高気圧を高温化させていると考えました。

700hPa

500hPaで描いたイメージは700hPaの天気図などで補強されたものです。
注意してほしいのは、チベット高気圧は冷たくないことです。
それでも、中国大陸の高温度域の北側で湿っている(ドットエリア)のは多少寒気がおりているためでしょう。

850hPa

 300hPa
7から11

前回、チベット高気圧と太平洋高気圧で私は東西流が日本の上空に熱を運んできているのだろうと考え東西流が解消すれば猛暑も解消するかもしれないと考えました。しかし、乾燥した高温の高気圧が移動してきました。
10日、移動性高気圧の西では、再びリッジが強まっています。

811から14

移動性高気圧は西のリッジが来るのを待って動きが遅くなり、日本本付近に停滞しました。14日には再び中国大陸で高気圧が強まりました。
大きな場でみれば、中国大陸で高気圧ができやすい場なのかもしれません。
天気図をみてこんな感じかなあと思うわけです。

815から18


強風帯が強まって中国大陸奥地の高気圧が強まりました。南の高気圧が北の高気圧に吸収されました。強風帯はさらに強まり高気圧も強まりました。
強風帯と高気圧に何か関係があるのだろうなと屁理屈を作りあげます。
何回か同じような経験をしたら経験をしたら法則として採用します。
強風帯がしっかりする冬には結論をだせるでしょう。

500hPa
87から11

7日と9日を比べて下さい。7日は中国大陸の南に乾燥した暑い領域が停滞していましたが9日は西に流されています。
300hPaに戻ると、東西流が南下して日本の北にあるのがわかると思います。


81114

7日と13日と比べて下さい。北日本の東海上に寒気が下りてきました。
寒気のさらに北東には強い寒気が顔をだしています。
そろそろ、季節の変わり目かなと思いました。

81518

北日本の東海上の寒気は解消してしまいましたが、北海道には深いトラフが接近し温度線が込み合っています。
温度線が込み合い強風帯が強まった天気図はまるで冬のようだと思いました。
中国大陸で温度が高くなっていますが理由はわかりません。
強風帯がしっかりするのと温度線が込むのはワンセットの現象です。
強風帯とその南の高温化が結びつけば理想的ですが・・
冬もこうなるのか興味がでてきましたが・・
冬になればわかるでしょう。


本来、テレビやラジオで解説する気象予報士さんはこうした天気図の色塗りをして解説に臨むべきだと思います。
当然、そうしているはずなのですが、解説を聞いていると実況図や予想図も見ずに「南から湿った空気が入り、大気の状態が不安定になり・・・云々」と解説しているように思えます。
基礎はできているはずでうすから、毎日実況図や予想図の色塗りをして実際の天気・衛星・レーダーと見比べていれば、半年程度で予報官レベルにはなるはずです。

しかし、こうして頭の中に天気図のデータベースを作らなければ、いつまでもまともな解説や予想は出来ないと思います。




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