2013年8月8日木曜日

チベット高気圧と太平洋高気圧


気象の話とは関係ありませんが「ニーサの利用方法」を書いてみました。お金の話です。
 http://takanosunotama.blogspot.jp/2014/06/blog-post.html


今年の猛暑、高温の理由を太平洋高気圧とチベット高気圧の2つの高気圧が重なったためと解説されています。
奇妙な解説だなと思いました。
前回は、オーソドックスな「台風で上昇した空気が雨を落とし、高温になった乾燥空気が吹き下りてきている。」の説明が加わったと思います。
この説明で私は少し安心しました。
チベット高気圧説に違和感を持ったのは私だけではなかったのだろうと思います。

東京の突然の雷雨とか日本海から暖気が南下して界雷になったとか奇妙な現象があり、300500hPaの天気図を見るようになりました。
そして、高温現象の説明として聞いたことがなかったチベット高気圧とは300hPaの高気圧(高度場)の事らしいと分かりました。

気象の世界では物理的な整合性は無視され、発現した現象に「放射冷却」と名前を付けて説明する悪習があります。

特に気温についての物理的な説明はひどいものが多いです。

では何故、気温予想ができるのか?
それは、統計処理によって予想しているのです。
「コウノトリが増えると赤ちゃんが沢山生まれる。」的な方法にたよっているのです。
家が増えてコウノトリが家に巣を作るのか、コウノトリが赤ちゃんを運んできて家をつくったのか原因と結果はどうでもよいのです。

気象予報士さんに高温の原因を求めることは無理なことです。

もちろん、私にも説明はできません。
しかし、実況図を見ることはできます。
予報担当者が暇な時(?)どんな考え方をするのかちょっと紹介します。
ただ、だいぶ錆ついているし理論はかなりあやしいですが・・;


上は20138721時、300hPaの実況図です。
NHKの予報士さんの解説はチベット高気圧と太平洋が重なって高温になっているとの苦しい説明は300hPaの見たまんまって感じです。
とても地上天気図は恥ずかしくて示せなかったのでしょう。

私は「関東の高温は説明できないと思います」って感想を持ちますです。

図は300hPaの等高度線と風が吹いている所が示されています。
Bの南に強風帯があります。
ウェザーニュースさんはこれの蛇行が豪雨の原因と言っていたと思います。
雨が降りやすいかどうかは言えるかもしれませんが豪雨になるかどうかは完全に舌足らずです。
さて、この強風帯は地球と一緒に回転していた空気が地球の回転速度より速くなっているところです。
角運動量保存則をご存じですか?

赤道付近で無風の空気は地球と一緒に回転しています。
6時時間で45°回転することになります。
この空気塊が上昇して北緯45度に降りてきたとします。
するとこの空気塊は6時間で180°回転するようになります。

角運動量保存則によれば
回転半径Rに空気の移動速度Vを掛けた値は一定になります。
R×V=一定
大学1年で習います。

この強風帯は南から北へ移動した空気が落ちてきている所ってことになりそうです。
だから、日本をすぎると回転半径Rは大きくなり風速Vは弱まってしまいます。

また、風を強める要因に温度差があります。
簡単に説明できませんので、知りたい方は気象の教科書を見て下さい。
言いたいことは、強風帯の北には寒気があり南には暖気があるってことです。

チベット高気圧の南にAってしるしを付けました。
南風が吹いていることに注目してください。
高気圧のへりをまわって暖かい湿った空気、暖湿が入っているイメージです。
今年は数個の台風が突っ込んでいきました。
水蒸気により大量のエネルギーが大陸に輸送されたわけです。
この暖湿が強風帯によって日本へ運ばれてる状態が今も続いています。
暖湿と簡単に言ってしまいましたが、湿っている状態(北の寒気に近い)と乾燥して高温になっている状態がありそうです。
最近は台風がつっこんでいないので?、乾燥した高温の空気が日本に流れ込んでいるようです。
上は500hPaの実況図です。

ショートトラフ付近で、温度線が東西に寝た形で込んでいます。
ここで西風が卓越している状態が今も続いています。
今は解消しましたが、北日本の東には寒気が停滞していました。
Aはかつて台風によりたっぷり水蒸気を供給されていました。
寒気に近いので湿りは解消されないのです。
Aが流れ込むと東海上の寒気との相互作用で前線が活発化して北日本に大雨をもたらしたと思います。
Bは大陸を吹き渡り、乾燥して(水蒸気を落として)高温になった空気塊です。
Bが流れ込むとフェーンを起こして、関東南部の平野部、東京で35℃なんてとんでもない気温になったと思います。
たしか群馬より東京のほうが高温になったと記憶しています。
このように考えると、大陸の東西に寝た温度線が傾くか、解消すれば日本の高温は解消するかもしれません。
チベット高気圧説は恐らく、現場の「お偉いさん」がもとだとは思いますが・・
お偉いさんは、理論武装はできていますが、ときどき予報経験が十分でない方がいるようです。
毎日天気図見てたら、この程度の解説はできるようになるのですけど・・
チベット高気圧説は、いきなり数枚の天気図をみた苦し紛れの解説のように思えます。

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